2017年ラトヴィアの動向―前半期

2017年8月22日

ラトヴィア投資開発公社

 

1.  政治情勢

「統一」、「緑と農民連合」、「ナショナルアライアンス」3党連立のクチンスキス政権は、その後も着実に政権を運営しています。この間、「統一」の退潮に歯止めが掛かりません。同党は、2008年の国際的金融危機を乗り切るなど近年政権の中核的役割を担って来ました。税制改革(下記5)においては政府原案に対抗し、独自の提案を行うなど目立った動きを見せ、党勢拡張に努めていますが、地方自治体選挙(下記2)においてもその退潮が目立ちました。リーガ市におい同党は選挙前9議席を有し、最大野党でした。得票率5パーセントの障害を乗り越え、何とか議席を維持しましたが、4議席に議席を減らしました。7月の世論調査においては、支持率は3.7パーセントでした(投票者総数に従い再計算すると5パーセントを超える見通し)が、明年10月の総選挙において議席を維持できるか、同党は存続の危機に立たされています。

2.  地方自治体選挙

6月3日に恒例の地方自治体選挙が実施されました。リーガ市は最近2期、8年にわたりロシア系住民の支持を集める「調和」党とラトヴィア系人を中心とした地域政党「リーガ市に貢献する栄誉」党の二党の連合勢力が行政を担当して来ましたが、今次選挙においてもこの連合勢力が過半数32議席(全60議席、前期は39議席有した)を制し、今後4年間市政を担い続けることになりました。ウシャコフ市長(ロシア系)は、「3期に渡りリーガ市民の信任を受け行政を担うことになったが、その大きな期待に応えたい」と述べました。ロシアのウクライナ侵攻、米国内政への関与など、国際的にロシアの影響力に大きな疑問符が付される状況、国政を担うラトヴィア系三党の強力な巻き返し、さらには、リーガ中心街改修工事等市政上の不手際が相次いだのにも拘らず、選挙に勝利したものです。また、今次選挙においては、ラトヴィア第二の都市ダウガウピルスにおいても「調和」党員が市長職を勤めることになるなど、同党の伸長が目立ちました。ラトヴィアにおいては、ソ連占領・併合、シベリア抑留、共産党一党独裁等の歴史的経緯から、ロシアに対する反発が強くあります。そのような歴史的経緯にも拘らず、上記のように両系市民の協業関係が進展していることは注目に値します。

 

3.  NATO機構化大隊の駐屯

6月にNATO機構化歩兵大隊のラトヴィア駐留が実現しました。首府リーガ北東20キロメートルの地にあるアーダジ駐屯地を中心にカナダ部隊を中心とする兵員数1000名規模の6か国混成大隊が駐屯します。同19日駐屯地において式典があり、ヴェーヨニス大統領、ストルテンベルグNATO事務総長は、「一国への攻撃は全加盟国への攻撃である」との北大西洋条約第五条に言及し、同部隊の駐留は、ウクライナ侵攻に伴うロシアの脅威に対応した措置であることを強調しました。2016年7月にワルシャワで行われたNATO首脳会議の決定にしたがい、エストニア、ラトヴィア、リトワニア、ポーランドに大隊規模の兵力を常駐させるものです。

 

4.  経済情勢と今後の見通し

2016年ラトヴィア経済は若干低迷していましたが、2017年に入り経済成長速度が速まっています。2017年の経済指数見通し、2018年予測は次の通りです。国内消費、設備投資、建設など国内需要が強く、これに食品、木材など輸出増加が加わり、経済が好循環しているものです。

                                                                2017年                     2018年

経済成長率(実質)                                3.7%                           3.4%

消費者物価上昇率                                    2.8%                           2.8%

平均所得月額(税込み)                         915ユーロ                   970ユーロ

同上昇率                                                  3.6%                           3.3%

求職者率                                                  8.9%                           8.2%

輸出(百万ユーロ)                               15、856                    16、938               

輸入(百万ユーロ)                               15、906                    17,455

2017年の経常収支は若干の赤字と見込まれています。    

 

5.  税制改革

ラトヴィア政府は、財務省主導の下に2016年以来税制改革につき検討して来ましたが、紆余曲折はあったものの、6月29日に行われた政府・産業界・雇用者三者協議会においてその大枠につき合意し、7月28日税制改革議案を可決成立させました。これまでラトヴィア経済発展の牽引役を果たして来た構造改革資金等EU資金供与が2020年に終了するため、ラトヴィア経済発展の方途につき検討を重ねて来たものです。税率を下げれば企業、個人の活動意欲を刺激・促進し、また、ラトヴィア経済の一大マイナス要因である脱税の防止に寄与するとの観点が今次税制改革の基本的思想をなしています。

すなわち、その根幹は、年間所得2000ユーロ以下の所得に対しては従来の税率23%を20%に軽減します。ラトヴィアの雇用者の大多数の年間所得はこの範囲内にありますので、大多数の勤労者は減税の恩恵を受けることになります。他方、年間所得2001ユーロより55000ユーロまでの納税者の税率は現行の23%に据え置かれ、また、これを超える高額所得者の税率は31%に引き上げらます。ラトヴィアにおいては、これまで、全納税者に一律の税率が課されていましたが、OECDの勧告に沿う形で、今回初めて累進課税を導入することになりました。高額所得者は、社会保障掛け金を加算すると実質税率が48.59%に達し、ほぼ所得の半額を徴収されることになります。また、現行15%の法人税率は変更しませんが、利益を再投資する場合には非課税とすることにより投資を促進します。全所得者の4割りが対象になっていると言われる最低賃金は現行の380ユーロより430ユーロに増額します。基本控除額も現行の200ユーロより2020年までに250ユーロまで段階的に引き上げます。

ラトビア経済界は、毎年実施される税制変更が企業の財務見通しを困難にしている、この不安定性がラトヴィアにおける企業活動の大きな障害になっている旨批判して来ましたが、オゾラ財務相は、明2018年にこれを実施後、その後3年間は変更しないと強調しています。

 

6.  日・ラトビア二重課税防止条約の発効

日、ラトヴィア両国は昨年6月条約案文につき基本的に合意しましたが、所要の調整を行い、署名、議会手続きを経て、7月5日発効しました。この条約により、二重課税を防止し、両国関係当局間の協力関係を強化し、投資・経済協力関係を強化することが期待されます。

7.  ラトヴィア建国100周年祭事業

ラトヴィアは1918年11月18日に独立しましたので、明2018年11月18日に独立100周年になります。1940年にソ連邦に占領、併合されましたが、1991年に独立を回復し、1994年にNATO、翌1995年に欧州連合に加盟し、爾来、西欧の一国として繁栄しています。

このような苦難の道を歩んだラトヴィア国民は、本2017年5月より2022年1月までの5年間にわたり建国100周年祭事業を実施します。文化省に100周年祭委員会を設置、その調整の下に、全国民が参加し事業を進めています。全国800か所、世界70か国において祝賀行事が実施される予定です。右構想の概要は下記の同委員会公式サイトにてご覧ください。現在は国民各位、自治体、団体、企業、各種政府機関、省庁において事業を計画している段階であり、今後順次具体化して行くことになります。それでも、既に100周年祭ロゴを決定し、国境にある全自治体45か所に樫を植樹する、ラトヴィアが辿った100年の歴史を映画化する、記念硬貨を発行する、市民各位が100周年祭のために自分の時間を提供し、働くサイトを立ち上げるなど、多数の動きが具体化し始めています。

ラトヴィアの歌と踊りの祭典は国際的に有名ですが、明年6月30日―7月8日に実施される祭典は本100周年祭の祝賀祭典として特に重要ですので、明年5月完工を目指し、リーガ市北部の森林公園にある大ステージの一大改修、拡張工事が行われています。

http://lv100.lv/en/

8. 外国人留学生の増加

近年ラトヴィアの高等教育機関に留学する外国人学生が増加しています。2015/16学年においては5、458名の外国人学生が在学しました。これは、学生総人口の8%に相当します。多数の外国人学生を擁する米国(19%)、英国(10%)には及びませんが、豪州(6%)、仏(6%)、独(5%)、ロシア(3%)、日本(3%)、カナダ(3%)、中国(3%)、イタリア(2%)よりも高率です。

ラトヴィアにとっては、この経済的効果を無視することはできません。外国人学生は、年間一人当たり12、264ユーロ(授業料5、136、住居3、432、その他3、696)約150万円支出しています。学生全体では6.1百万ユーロ、ラトヴィア総生産の0.61%に相当します。2015年の政府の高等教育関係予算は63百万ユーロでしたが、外国人留学生の支払った授業料総額は28百万ユーロに達しました。

学生を出身国別に見ると、ドイツ、ウズベキスタン、ロシア、インド、カザフスタン、スウェーデン、ウクライナが上位7か国を占めています。これら諸国はEU、ロシア・CIS、その他の諸国に三分類できます。EU諸国民にとっては授業料、生活費の安さ、ロシア・CIS、その他の諸国民にとってはEU内を自由に移動でき、かつ、ラトヴィアの学位を取ることによりEU内で仕事する道が開けることが魅力になっていると考えられます。因みに、ラトヴィアを選択した理由を質問したところ(複数回答可)ラトヴィアはEUの一国である(64%)、外国文化・外国生活の経験(61%)、外国語の勉強(56%)生活費の安さ(51%)、ラトヴィア学位の有効性(45%)、生活上の安全性(40%)授業料の安さ(38%)が上位7位を占めました。なお、OECDによれば、現在世界で5百万人が留学しており、これが今後10年間に7百万、8百万人に増加すると予想されています。

 

9.  アロナ・オスタペンコ全仏オープン優勝

ラトヴィアの女子テニス選手アロナ・オスタペンコが2017年全仏オープンテニスに優勝しました。冬季オリンピックにおいてスケルトンで金メダルをとり、アイスホッケーにおいては長年A組に属するなどラトヴィアの活躍が目立ちますが、このたび世界的な商業スポーツ・テニスにおいて初優勝したものです。優勝数日前に20歳になり、若年ですので、今後の活躍が期待されています。

なお、同嬢はリーガ近郊の保養地、ユールマラ出身のロシア系人です。母親もテニス選手であり、若年時代よりアロナをコーチして来ました。父親も一流のサッカー選手であったと言う、スポーツ一家です。ソ連時代のスポーツ振興政策もあってか、ラトヴィアにおいてはアイスホッケー、サッカー等スポーツ全般にわたりロシア系人の活躍が目立ちます。

 

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