2016年ラトヴィアの動向―前半期

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ラトヴィア投資開発公社


1. 政治情勢

2月11日、「緑と農民連合、21議席」マーリス・クチンスキス氏(Mr. Maris Kucinskis)を首班とする、「統一、23議席」、「VL-TB/LNNK、17議席」が参加した3党連立内閣が誕生しました。3会派の中では、「統一」が最大の会派ですが、党内内紛のため、全議員の支持を得た統一候補を擁立することが出来ませんでした。このため、大統領は第二会派「緑と農民連合」が押したクチンスキス氏を指名し、3党の合意が成立したものです。2015年12月7日、ストラウユマ内閣退陣後、大統領は「統一」の候補者を中心に選定作業を行っていましたが、上記の事情からこれが進捗せず、結局「緑と農民連合」を首班とする連立内閣が誕生しました。この結果、2011年11月ドンブロフスキス内閣誕生以降、中心的役割を担って来た「統一」に代わり、「緑と農民連合」が国政の中心的役割を果たすことになりました。従来、大統領(「緑と農民連合」出身)と首相は同一会派としない、と言う暗黙の了解があると言われていましたが、現在はこれに反する形になっています。なお、ラトヴィアの政治経済、対外関係、要人往来の詳細は、下記在ラトヴィア日本大使館ホームページ、「月報」にてご覧下さい。

http://www.lv.emb-japan.go.jp/itpr_ja/report_index.html


2. 経済情勢と今後の見通し

2015年の実質経済成長率は2.7%、2016年の予測は2.8%であり、穏やかな成長が継続しています。2015年の消費者物価上昇率は0.2%、本年は0%の見込みです。失業率はそれぞれ9.9%、9.8%の見込みです。2015年の貿易収支は348百万ユーロ、経常収支は300百万ユーロの赤字、本年は、貿易収支は若干の赤字、経常収支は若干の黒字になると予想されています。2015年の財政赤字はGDPの1.3%でした。ラトヴィアの経済情勢は、下記財務省のホームページにてご覧ください。

http://www.fm.gov.lv/en/s/macroeconomics/monthly_survey_of_the_economics_and_state_budget_/


3. 日・ラトヴィア租税条約交渉の実質合意

両国代表は、去る6月に東京にて会合し、日・ラトヴィア租税条約に実質的に合意しました。この条約は両国間の二重課税の調整、相互協議手続き等を設けることにより、投資・経済交流を促進することを目的としています。今後条文の精査、署名、両国議会の承認手続きを経た上で発効することになります。この詳細は、下記外務省報道発表にてご覧ください。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_003432.html


4. 「ラトヴィアを知るための47章」発行

5月に明石書店より「ラトヴィアを知るための47章」が発行されました。これは、ラトヴィアを全体的に紹介した本として最初の本格的な本です。政治、経済、社会、文化、全47章、19コラムより構成され、31名の著者が分担して執筆しました。ラトヴィアに関心がある方にとっては必携の書籍です。

http://www.akashi.co.jp/book/b238408.html


5.トピックス

(1) 最低賃金の引き上げ

2016年1月より最低賃金月額は、前年の360ユーロより370ユーロに引き上げられました。労働人口の4割が最低賃金と言われており、その社会、経済への影響は甚大です。明2017年の予算編成作業に当たり、厚生省は37ユーロの引き上げを提案しましたが、経済界が強く反対し、結局前年同様10ユーロ引き上げ、380ユーロとすることに落ち着きました。最低賃金は、賃金のほか、自営業者の社会保障掛け金、児童手当の計算基礎ともなっており、国家経済に大きな影響を及ぼします。過去7年間の国会議員、平均賃金、最低賃金は以下のとおりです。

 国会議員平均賃金最低賃金
2010年1403633256
2011年2016660285
2012年2016685285
2013年2158716285
2014年2192765320
2015年2291785360
2016年2448 370


(2) マイクロ企業の育成

ラトヴィアは2010年にマイクロ企業制度を創設しました。その後下記のとおり2016年1月1日までに合計47、169社がマイクロ企業として登録されました。発足時においては、マイクロ企業は、従業員5人以下、年間売上高が7万ユーロ以下等規定されました。ラトヴィアの法人税は通常15%ですが、マイクロ企業は9%で、2016年もこれが据え置かれました。社会保障掛け金の雇用者負担分23.59%ですが、この支払いが免除されるなど、マイクロ企業の負担は大きく軽減されています。ラトヴィア歳入庁は、この制度が脱税に利用されているとして、この制度を縮小する方向ですが、経済界、民間事業者間には、この制度が起業、企業の育成に大きな役割を果たして来たとの声が強く、この制度の取り扱いが国家的係争案件になっています。上記(1)最低賃金引き上げ論争は連立与党を構成する「統一」の人気取り政策(厚生大臣は同党出身)とも言われていますが、マイクロ企業の取り扱いは、国家経済発展の方策と税収の確保と言う矛盾を抱えた問題であり、この取り扱いが注目されます。

2013年1月1日までに25、174社

2014年1月1日までに31、986社

2015年1月1日までに40、020社

2016年1月1日までに47、169社

(3) 非居住者の預金

ラトヴィアは人口200万人の小国ですが、北欧系の銀行を中心に合計19の市中銀行が活動しており、地域の金融センターの感を呈しています。預金総額の半分以上が外国人、特にロシア、CIS諸国人の預金であり、この非居住者預金がラトヴィア経済に大きく貢献しています。近年これら預金が資金洗浄の温床になっているとの国際的批判があり、ラトヴィアが本年OECDに加盟したこともあり、最近、政府、金融監視局による監視、監査が厳しくなっています。しかし、国家経済における金融業の重要性は変わらず、また、非居住者預金も順調に増加していると言われています。

(4)ドイツ人投資家がエア・バルティック社に投資

2月4日、ラトヴィア国有航空会社エア・バルティック社とドイツ人投資家Ralf-Dieter Montag-Girmes氏との間で契約が締結され、同氏は、5、200万ユーロで同社株式の20%を取得しました。同社は、ラトヴィア政府の追加出資8、000万ユーロと合わせ、合計1億3、200万ユーロを使い、機材を抜本的に刷新中です。従来はBoing 737型機が主要機材でしたが、カナダBombardier社製のCS300型機に順次更新します。既に20機発注済みです。

エア・バルティック社は、1995年に北欧SASとの協同事業として開始されましたが、SASは2009年1月に所有全株式(47.2%)を売却しました。その後近年の石油価格高騰とともに2011年に赤字に陥り、それ以降数年にわたり日本を始め各国の航空会社、国際的投資家と折衝を重ねていましたが、ここに今後の事業発展計画に目処をつけることができました。


6.日本の企業進出

(1) 事業構想例

伸縮性のあるスラックスの縫制

数年前、ある日本業者は、独自の技術に基づいた伸縮性の高いスラックスをラトヴィアで縫製し、ドイツを中心にEU諸国で販売することを計画していました。試作品の納入、これを鑑定する段階まで行きましたが、そこで過般の世界金融危機が発生し、計画は頓挫しました。同社は、東南アジアで縫制した製品を米国中心に販売していましたが、これを欧州に拡大しようとしたものです。

物流センターの設置

ラトヴィアは、北欧、西欧、ロシア・ユーラシア大陸の境界に位置し、古来通運の要衝として機能して来ました。産業革命以前はダウガヴァ河が大きな役割を果たしていましたが、その戦略的位置は今も変わりません。日本、極東からロシアに輸送する場合、ウラル山脈の西側、すなわち、ロシア中心部はバルト海側から輸送した方が割安です。船舶の大型化、効率化にともない、この傾向が強まっています。大西洋諸港からバルト海諸港へ運行するフィーダー船の大型化もこの傾向に拍車を掛けています。日本のある中堅運送業者は、数年前から、当地有力業者の物流センターを活用し、自動車部品をロシアへ供給しています。日本の大手楽器会社もリーガに物流センターを設置し、ロシアへ供給することを計画していましたが、これも金融危機が発生したため進捗しませんでした。

ロシアだけでなく、東欧、一部の南欧、一部の西欧地域についても、リーガから輸送することが考えられます。欧州内の陸運貨物の太宗は大西洋岸から内陸へ、すなわち、西から東へ動くため、東へ向かう陸送荷物は料金が高く、この逆、西に向かう帰り荷の料金はずっと割安です。当地業者の試算によると、東欧諸国、一部南欧諸国、ドイツ東部は大西洋岸からの陸送よりも、リーガまで海運輸送とし、ここから陸送した方が割安の由です。

RUT(Riga Universal Terminal)社

当地RUTは、三井物産が所有(日本通運が1割出資)するシンガポールの港湾運営会社Portekが所有・運営しています。同社は、特に冷蔵品の輸送に強く、冷蔵倉庫、冷蔵コンテナーを所有し、冷蔵品をロシア、CIS諸国、中央アジアに供給しています。RUTの概要は下記サイトにてご覧下さい。

http://www.ruterminal.lv/company/

ファッションモデルの撮影

ラトヴィア人女性は世界で一番身長が高いとの統計があります。リーガ市内では日常モデルのような女性を多数見かけます。ラトヴィアにはファッション雑誌等に利用するモデルの撮影を請け負う、これら写真を提供する会社が数社あります。数年前に日本のある業者がこのための調査を行いましたが、世界金融危機のために計画は頓挫しました。

販売拠点の設置

数年前日本のある刃物業者は、リーガに販売拠点を置き、欧州全体に販売することを計画していました。ラトヴィアの給与水準は欧州諸国、日本の半分から、三分の一であり、また、人件費のほか事務所借料等諸経費も安く、販売拠点として最適です。

(2)  提携先企業

ラトヴィア投資開発公社は、毎年ラトヴィアの優良企業を選考、発表、総理大臣臨席の下に表彰しています。これらの優良企業は有力な提携先と考えられますが、これら企業の連絡先は、下記2015年「輸出イノヴェーション賞」リストおよび各年の関連頁をご覧下さい。上記4.「ラトヴィアを知るための47章」末尾に掲載する「経済関係公共機関、経済・工業団体、優良企業連絡先」にてもご覧いただけます。

http://www.liaa.gov.lv/jp/homu/ratovuia2015nian-nodong-ki


上記諸情報、関連情報に関するお問い合わせ、ラトヴィアに企業進出する、あるいは、ラトヴィアで起業する可能性等につきましては下記担当者にお願いします。アリナ嬢は日本語に堪能です。

(1) 郵便番号150-0047

東京都渋谷区神山町37番11号プリマヴェーラ神山A号室

駐日ラトヴィア共和国大使館

ラトヴィア投資開発公社日本代表

アリナ・アシェチェプコワ(Alina Ascepkova)

電話: 03-3467-6888

ファクス: 03-3467-6897

Eメール: jp@liaa.gov.lvalina.ascepkova@liaa.gov.lv             

携帯電話: 9080―0012-13

(2)  ラトヴィア投資開発公社(Investment and Development Agency of Latvia)

Perses Street 2, LV-1442, Latvia

日本コーディネーター 長塚 徹 (Toru Nagatsuka)

電話: 371-6703-9494

携帯電話: 371-2631-7188

Eメール: toru.nagatsuka@liaa.gov.lv

ホームページ: www.liaa.gov.lv