ラトビアの有利性

ラトヴィアの有利性

2019年5月31日

ラトヴィアの有利性

           ラトヴィア投資開発公社
日本コーディネーター、長塚 徹

1.法的保護

EU域内にあり、企業、個人が法的に保護されています。他国のことを言うのは何ですが、ロシア、中国等の諸国では法的保護に問題があると言います。その点、ラトヴィアはEU諸国の一国であり、問題ありません。なお、ラトヴィアには外国投資家協会(Foreign Investors Council in Latvia-FICIL)と言う外資系会社の団体があり、ラトヴィアの事業環境を改善するために、ラトヴィア政府と定期的に協議し、勧告を行っています

2.内外無差別の原則

外国系会社を差別することはありません。法人を設立した暁には内国法人としてラトヴィア企業と全く同じ取り扱いを受けることになります。ちなみに、企業を100%所有することが可能ですし、土地(農地には制限あり)、財産の購入も自由です。

3.関税

EUは共同市場ですので、域内諸国間には関税はなく、関税手続きは不要です。概略は当公社日本語ページ、貿易の項の「輸出入規制・関税」をご覧下さい。なお、同資料中のEU資料、http://europa.eu.int/comm/taxation_customs/dds/en/ebticau.htm. 及び

http://europa.eu.int/comm/trade/issues/respectrules/tdi_enlarg/exporters.htm は古くなっておりますので、ご注意願います。http://europa.euが役立つかと思います。

4. 法人税は20%と欧州域内で最低の部類に入ります。

5. 人件費・ビジネスコスト
人件費は、日本、西欧諸国の半分程度です。所得税は、年間所得20、004ユーロ未満は20%、20、004ユーロ以上55、000ユーロ未満は23%、55、000ユーロ以上は31.4%です。社会保障費雇用者負担分24.09%、非雇用者負担分11%、付加価値税21%(ただし、医薬品、幼児用品、一部の出版物、水道料金、暖房用料金は12%、一部の野菜は5%)です。米国Cytec Industries、韓国Samsung Technologies、ノルウェーSTATOIL FUEL & RETAIL社等が当地にシェアード・サービスセンター(SSC)等を置いたのは、人件費、ビジネスコストが低いことが大きかったのではないかと思われます。

6. 運輸事情
当地(リーガ港、ヴェンツピルス港、リエパーヤ港)の運輸環境はリトアニアKlaipeda港より優れていると思います。特にロシア、CIS諸国との関係ではそうです。リーガ、モスクワ間の鉄道は約940キロで、最短です。また、ラトヴィアの鉄道の幅員は1520mmでロシア、CIS諸国と共通です。余り知られていませんが、アフガニスタンで活動する米軍、EU各国軍の食料、非戦闘用機材はリーガ港等に陸揚げし、ロシア、CIS諸国を通過し、アフガニスタンに輸送されていました。

ラトビア内の道路は、西欧よりエストニア、フィンランドに至る南北方向の道路、ヴェンツピルス、リーガよりモスクワ等ロシア方面に至る東西方向の道路が交差しており、道路輸送の要衝とも言える位置関係にあります。この意味でもラトヴィアは、西欧、北欧、ロシア等ユーラシラ内陸部の十字路で、有利な位置にあります。

次に、海上輸送も大変便利です。

ラトヴィアと西欧諸国間には下記の定期航路が運行しております。

Bremerhaven - Hamburg - Riga – Klaipeda; Hamburg – Bremerhaven – Riga; Riga - Kiel - Bremerhaven – Kaliningrad; Antwerpen - Riga - Kotka - Helsinki - Tallinn (including Vanasadam (Old City), Muuga, Paljassaare) - Antwerpen; Rotterdam – Antwerpen – Riga – Tallinn – St.Petersburg; Ventspils - Lübeck-Travemünde; Ventspils – Nynäshamn and others.

7. ロシアマーケットに近い
運輸事情の他に歴史的事情、言語環境もあります。ラトヴィア市民の3割弱はロシア系、ウクライナ、ポーランド系も入れると4割弱がスラブ系です。これらの人は言うまでもありませんが、1991年までソ連の一部だったため、ラトヴィア系の人も含め、中年以上のラトヴィア市民は皆完全なロシア語を話します。若い人は英語を覚えるのに大変で、ロシア語力は落ちて来ていますが、ラトヴィアの置かれた地勢的事情もあり、それでも多くの人がロシア語を話します。リーガ近郊の避暑地ユールマラには大きな邸宅が軒を連ねていますが、その多くはロシア、CIS系人の所有と言います。同地は昔、また現在も、避暑地として有名で、多数のロシア人が来ます。余り知られていませんが、ラトヴィアは小さいスイスと言うか、国際金融にも強く、その顧客の多数はロシア、CIS諸国人であることが知られています。社会、経済全般ロシア、CIS諸国との関係が強いことが理解できますが、この点はエストニア、リトアニアとかなり異なっています。

8. 企業に対する優遇措置
これは、資料Business incentives available in Latviaに詳述されておりますので、右をご覧下さい。その骨子は、経済特区で得られる特典(税の減免)、税の一般的減免措置、減価償却上の特典、EU構造改革資金(貸付ではなく、grant、贈与)利用の可能性に集約されます。上記の他に以下の諸点も有利性の一環として上げることが出来ると思います。

9. 当公社の支援
ホームページで既にご覧頂いたかと思いますが、当公社は次のようなサービスを無料で提供しております。
(1) 事業活動情報の提供
(2)
提携先の紹介
(3) 土地等所要物件の紹介
(4) 事業開始に伴う諸手続きに対する支援
(5) 投資のアフターケアサービス
(6) 手前味噌ながら、ラトヴィア投資開発公社には日本コーディネーターが勤務し、資料の作成を中心に日本関係業務を担当しています。公社のホームページにも日本語サイトがありますが、欧州広しと言えども、日本語サイトを持つ団体は殆どありません。なお、日本には当公社の駐在員Alina Ascepkovaがおりますが、日本語が堪能です。

10. ・アメニティー
リーガはバルトの最大都市で人口約70万人、近郊地域を含めると約130万人になります。中心部建物の外壁にはアールヌーボー(art nouveau)と呼ばれる彫刻、装飾が施されており、普通の街にない、優雅な雰囲気を持っています。数年前ユネスコの世界遺産に指定されました。オペラ、演劇の他、交響楽団が3、4団体あり、また、博物館、画廊も多く、この様な趣味のある人には大変楽しい街ではないかと思います。また、自動車で30分も走れば森林地帯になります。日本と違い、平地、ゆるやかな丘陵地ですが、なかなか美しく、散歩、湖沼での釣り、秋には木の実、キノコ狩りとラトビア人は自然を楽しんでいます。ゴルフ場も3箇所あります。日本人学校はありませんが、インターナショナルスクールはあります。夏を中心に観光客も多く、日本からも毎年1万強の人が来ています。

また、今次東日本大震災の際にラトヴィアが世界一安全な地域であることに思い当たりました。自然災害が殆どありません。地震、台風はなく、春先に川の沿岸地域が冠水する程度です。もちろん、危剣は色々あります。冬の凍った道はすべり易く、軒からツララ、屋根から雪が落ちて来て、人、自動車が被害を受けることがあります。

11. バルト二国との比較
(1) ロシアとの関係(再考)
ロシアとの関係が重要です。リトアニアにおけるロシア系人口は5%で、地理的にもロシアとは距離があります。その点、エストニアとラトビアはロシアと国境を接し、強い経済的、政治的関係がありますが、特に近年ラトビアの方が関係が良好と言えます。ラトヴィアの企業関係者の多くがロシア系であることも関係があると思われます。3千万人とも言われる在外ロシア人の動向、世界各地における活動が注目されますが、今後ラトヴィアにおいてラトヴィア人、ロシア系人が協調関係を築いていけるのか、今後の成り行きが注目されます。リーガ市ではロシア系の「協調センター」及びGKR連合が市政を担当していますが、市長ウシャコウス氏はロシア系であり、ここにもラトヴィア系、ロシア系の協調関係を見ることが出来ます。

(2) バルト内の地域センター
地理的、文化的、政治的にリーガがバルト諸国の中心地的な役割を担って来ました。ソ連時代にはバルト軍管区司令部がリーガに置かれていました。モスクワ区域への輸送はリーガが最短です。

12. Portekの進出
三井物産が90パーセント、日本通運が10パーセント所有するシンガポールPORTEK社は、2013年4月にリーガ港の港湾会社Riga Universal Terminal社の株式を購入し傘下に置きました。Portek社は全世界に11の港湾会社を運営する国際企業です。実質上、これが日系企業による最初のラトヴィア進出事業です。

(了)